「産後クライシス」という言葉をご存知でしょうか。産後クライシスとは簡単に言えば、出産後に夫婦仲が悪化してしまうこと。産後に夫婦仲が冷え切ってしまう状況を意味します。
この産後クライシス、とてもやっかいなのは、「産後クライシス」が起きていることに気づくまでに時間がかかること。なぜ時間がかかるのかというと、夫婦仲は円満な状態から1日で一気に冷え切るものではなく、徐々に関係が悪化していくからなんですよね。
産後クライシスに気づいた時には、夫婦仲は悪化、最悪の結果を招く一歩手前というケースも少なくありません。かくいう私もその一歩手前でようやく気付いた一人。今はその状況をなんとか乗り越え、険悪な夫婦関係も解決に至りましたが、手探りで時間もかかり、心身ともに辛かったのです。
そんなことから、そんな辛い状況にいる方にとって少しでも参考になるよう、産後クライシスの経験談と解決した方法などをさらりとまとめておこうと思います。
産後に夫婦仲が悪化、解決できる!?
産後の夫婦仲悪化、気づいた時には辛い気持ちを抱えている方が多いと思います。そうなると、今後、悪化している夫婦仲を改善するのか、解決できるのか、先の見えずに不安ですよね。私自身も当事者だったころはとても不安でした。
でも、いわゆる産後クライシス、解決できるかという質問には、「はい」と答えます。というのも、私自身、産後クライシスに気づいたのは産後1年経ってから、その時には離婚の一歩手前まで行きましたが解決に至ったからなんですよね。そして、この産後クライシスを乗り越えると、以前の夫婦仲に戻るというよりは、以前円満だった頃よりもさらに夫婦仲が深まり強い繋がりが構築されます。
fa-lightbulb-oただ、解決する上で必須となるのが、夫婦互いにどこかで「夫婦仲を修復したい」、「今後も一緒に生活したい」という気持ちがあること。正直に口にしなくても、心のどこかでこういった相手への気持ちが少しでも互いにあれば、夫婦仲を改善できる可能性は十分にあります。逆に、「修復したい」、「今後も一緒に居たい」という気持ちが一切ない場合は、夫婦仲の改善や修復はより難しくなると思います。
産後クライシスで起きる、夫婦の問題とは!?
まず、産後クライシスによって起きてしまう夫婦間の問題は下記の通り。クライシス=危機という名が付いているだけあって、悪化すると夫婦として最悪の結果を招く可能性も秘めています。
- ストレス(イライラ、怒り、落ち込み)
- 夫婦喧嘩
- セックスレス
- 無関心
- 浮気
- 別居
- 離婚
夫婦にとってはかなり深刻な問題が並んでいますが、これが自然な流れで起きてしまいます。実際のところ、私も離婚の文字は何度も脳裏に浮かびましたし、夫は自宅以外の場所で癒しを求めるようになりました。なので、私自身、夫婦としては深刻な状況でしたね。それでも、夫婦仲修復に至っています。
では、そんな産後の夫婦仲悪化、原因は何なのでしょうか!?
産後の夫婦関係が悪化!産後クライシスの原因とは!?
fa-lightbulb-o産後夫婦関係関係が悪化してしまう原因、それは夫婦それぞれに役割が1つ増えることで相手に求めること、出来ることにズレが生じてしまうからです。役割が増えるというのは、出産前は、「妻」、「夫」という役割がそれぞれありますよね。それが出産後、「父」、「母」という役割が突然加わるということ。役割が増えることによって互いの役割や期待すること、出来ることが複雑化し、ズレが生じるのです。
夫婦だけの頃は、恋人関係から始まり、結婚の準備、新居の準備などを通してコミュニケーションを取りながら徐々に相手を理解し、夫として、妻として互いに何を求めているか、少しずつ理解していきます。この時点で、それぞれの役割を整理し、互いに求めること、出来ることなど話し合っていればベストですが、そんな夫婦はそもそも少ないはず。私達夫婦もそういった話し合いはせずに夫婦生活をスタートさせました。
でも、「妻」や「夫」の役割について細かに整理していなくても、産前まではそれで円満に成り立っていました。それはなぜかというと、夫婦になるまでに準備期間があったり、出産までは恋人や夫婦としてデートやコミュニケーションを通して相手を知る機会があったから、また好きという感情あり、相手に好かれたい思いから相手に合わせることが容易に出来ていたからでした。それが、出産後は突如として子どもの存在が加わり、喜ばしいことなのですが生活は一変します。
夫婦の時間はおのずと激減。特に一人目を出産した直後は、育児の全てが新しい経験で、これまで想像できなかった未知の生活がスタートします。女性の場合は、特に忙しくなり、「妻」よりも「母」の役割に徹することになりますよね。
私の場合、初めての育児はいっぱいいっぱいで、「妻」の役割自体を忘れていたというのが本音です。というより、”妻の役割=母の役割”という認識も強く、育児最優先という気持ちで長い間を過ごしていました。だからこそ、逆に夫に対しては、”夫の役割=父の役割”という認識があり、夫は産後に育児に参加するのが当然だと考えていたけれど、手伝おうとしない夫に「なぜ!?」「私ばかり!」と、苛立ちが募りました。
でも実は、夫は、私と同じように「妻」の役割=「母」の役割という認識はなく、全く別のことを私(妻)に求めていたのでした。まさに夫婦間の認識にズレが生じていたわけです。
そんな産後の夫婦関係のズレ、どんな風に差があるのか、どれだけズレていたのか、リアルな妻事情と夫事情を見ていきましょう。
産後の夫婦、それぞれどう思ってる?リアルな妻事情、夫事情!
産後の夫婦、一体どうなっていたのかというと、私達夫婦のリアルな言い分は下記の通り。夫婦関係は、完全なる平行線でした。
産後リアルな「妻」事情!
初めての子育てで、喜びもあるものの、夜泣きや泣き止まない、発達における不安など心身ともに追い詰められるタイミングが幾度となく訪れ、ほぼ24時間子供と一緒の生活にストレスを抱える。常に子供優先で、自分の外見や身だしなみに注力する時間が激減し、気を遣わなくなる。具合が悪くてもゆっくり休めない、気軽に病院に行けない。お手洗いですらゆっくりしていられないことも。
こんなに大変なのに、夫は仕事から帰宅するとネットサーフィンばかりで、家事・育児の手伝いはよほどお願いしない限りしてくれない。手伝いをしたとしても嫌々しているのがありありと見て取れる。子供を預かるのも、「出来ない」と拒否。「こんなに大変なのになぜ手伝ってくれない?」、「自分の子どもなのになぜ育児に参加しない?」、「自分だけ休めてずるい」夫の休みの日はイライラがさらに募るばかり。休日の日くらい、家事・育児を手伝ってほしい、少しは休ませてよ!
産後リアルな夫事情
妻が母になってしまった。子供ばかりを優先し、俺は我慢ばかり。俺がいるから家族が成り立っているのに、なぜ俺を大事にしない?仕事から疲れて帰宅しても、散らかっているし、「手伝いをしない」と責められ、自宅なのに休めない。「家事・育児を手伝ってくれない」と言うが、俺だって毎日仕事で疲れている。俺の仕事は手伝わないのに、なぜ自分だけ特別なんだ!?逆にずっと家にいるのに何が大変なんだ!?
俺だって、家族を養うプレッシャーや責任感を抱え、辛い仕事も家族のために頑張っていて辛いことはたくさんあるんだよ。たまの休みくらい、ゆっくりさせてくれ!妻を女性として見られなくなっている。
これらが私達夫婦がそれぞれ抱いていた「夫」や「妻」としてのリアルな思いでした。まさに、平行線状態。自分の役割と相手の役割の認識、求めていることを整理すると、私は妻として、
夫としては、
整理するとより分かりますが、私達夫婦の場合、各役割の認識が見事にズレていたんですよね。そして、何より、相手を自分の延長線上で見てしまっていました。相手は別の人間で相手には相手の事情があり、辛さがあるのだということが見えない状態だったんです。互いに「あなたは私に比べれば辛くない、楽している」と感じていたので、怒りやイライラが増し、それを見過ごすか、相手を批判するかの2パターンの行動をしていました。
こんな状態が続けば、夫婦仲が悪化するのは自然の流れともいえます。夫も自宅で休めず、自宅以外の場所で癒しを求めるようになりました。夫婦関係は、完全なる赤信号です。
本来は、「私も大変、あなたもあなたで大変」、「私は辛い、あなたはあなたで辛い」、これが正解でした。この土台があって初めて、同じテーブルにつき、話し合いが出来るようになるんですよね。
では、こんな最悪の状態から、どう夫婦仲を改善したか、解決への道のりをまとめておこうと思います。
産後、悪化した夫婦関係を改善したい!産後クライシスの解決策、リアル体験談!
私達夫婦の場合、私(妻)発信で、手順にすると下記のような流れで夫婦仲修復に至りました。
1.今後夫婦として生活したいか、自分の気持ちを確認
私自身、夫婦関係が最悪の頃は離婚の文字も頭に浮かんでいたため、改めて今後夫婦として生活したいかどうか、経済面や子どもへの影響など色々な側面から考えました。
ここで、夫婦としての生活を本当に望んでいるか、自分の本心を確認しましたね。「今後、夫婦として生活していくのは無理」という答えが出たのであれば、夫婦仲を改善するのではなく別の道を模索していたと思います。
2.夫婦仲を改善したいか、自分の気持ちを確認
1.で今後も夫婦として生活していくことを確認しても、夫婦仲については別問題。仮面夫婦という言葉があるくらいですから、夫婦仲はそのままの関係で良いと割り切って生活していくという選択肢をされている方もいます。
私の場合は、「今後も夫婦で生活していくと決めた以上先は長い、それならば夫婦仲良く暮らしたい。」そんな思いを実は抱えていたことに気づきました。
3.夫にその旨を正直に伝え、役割の整理を提案する
この時点で、夫に勇気を出して話し合いをしたいと申し入れ、正直に「夫婦仲を改善したい」と伝えました。そして、産後から夫婦関係が夫婦関係が悪化して、産後クライシスというものがあると分かったこと、その原因にお互いの役割に対して、求めていることと、出来ることにズレがある可能性が高いこと、だから互いの役割を明確にして、互いに求めていること、出来ることを擦り合わせていきたい。
そして、これは夫にとても効いた言葉だったと後から知りましたが、「産後、育児に必死で妻として寂しい思いをさせていたかもしれない、ごめんね。喧嘩もたくさんしたけれど、好きで結婚したし、大事に思っている。なんとか関係を修復したい。」と感情をストレートに伝えました。これが、夫曰く、とにかく心に響いたのだとか。
いずれにせよ、冷静に正直に気持ちを伝えたことで、夫婦で話し合いをすることになったのです。
夫婦で互いの役割に求めること出来ることを擦り合わせて整理する
ここで注意が必要なのですが、夫婦で話し合う時は、お互い冷静に話し合う必要があります。なぜかというと、感情的になると、話し合いが台無しになる可能性が高いからです。そうなれば、夫婦関係修復のチャンスを逃します。なので、ヒートアップしそうな場合は、話し合う直前にルール決めをしておくことオススメしています。
ルールと言っても簡単なのですが、自分と相手は別の人間であり、相手が話しているときは、相手が話す番で自分は聞くことに徹するということ。「それは違う」、「いや、そう思わない」などと互いに口出しや攻撃はしないこと。「あなたはそう思っていたんだね」というスタンスで話を聞きます。
こんな調子で、夫は「妻」「母」として求めること、妻が「妻」、「母」として認識していることを擦る合わせ、出来ることを明確にしていきます。途中で、互いの認識の違いに驚くことでしょう。逆も同じです。妻は、「夫」、「父」の役割として求めること、夫が「夫」、「父」の役割として認識していることを擦り合わせ、出来ることを明確にし擦り合わせていきます。
5.「愛情」の捉え方、計り方のズレを整理する
ついでに、相手のどんな行動や発言からの愛情を感じるかを明確にしておきましょう。この愛情の捉え方、結構ズレがあり、「え?そんなことで?」と思うことも少なくありません。
例えば、女性は家事・育児を手伝ってくれたら大事にされていると感じるとか、スキンシップで愛情を感じるとか、男性は仕事の愚痴を聞いてもらえたら大事にされていると感じる、帰宅を待っていてくれると愛されていると感じるなど、明確にしておくことで、認識のズレから来る「愛情不足」を解消することができます。そうすることで、より良い夫婦仲に発展していきます。
最後に、大丈夫。あなたは一人じゃない。産後の夫婦関係で悩む人はたくさん!
夫婦関係の悩み、両親や友人には言いづらいという方が多いですよね。だからこそ一人で悩みを抱えてしまいがちですが、実は産後の夫婦関係で悩む方はたくさんいます。
現に、そんな産後の夫婦関係の状態を映像として、リアルに見られるドラマがあるのを御存知でしょうか!?きっと、「わかるわかる」と涙してしまう方も多いはず。下記韓国ドラマ「ゴーバック 夫婦」の1話目にあるのですが、ものすごくリアルに夫婦のすれ違いが描かれていて、「妻」目線、「夫」目線と両方の気持ちを理解することが出来ます。DVD版でお高いのですが、楽天TVだと現時点1話目は無料のようです。>>楽天TV
韓国ドラマに興味がない方でも感情移入できるはず。夫婦で見るのもオススメで、韓国ドラマに一切興味のない夫にも1話目を見せたところ、「登場する旦那さんの気持ちがすごく分かるし、妻の立場も理解できた。ありがとう。」と感謝の言葉がありました。夫婦間の認識のズレ解消にも役立つはず。
この映像を見ても分かる通り、産後の夫婦関係で悩んでいるのは1人ではない、日本だけでなく世界中のたくさんの夫婦が直面している問題なのだと分かります。一人じゃない、そう思えるとホッとしますよね。「大丈夫。一人じゃない。」そんなメッセージもこの記事を通して伝えることが出来たら嬉しいです。
今はどん底の気分という方もいらっしゃると思います。私もそんな時期がありました。でも、ずっと同じ状況が永遠に続くことはありませんでした。
夫婦関係の問題は相手がいることなので、自分だけの努力で解決できなところが歯痒いところですが、夫婦仲を円満にしたいという気持ちを大事に、自分の気持ちに正直に、無理なく出来ることはしてみる、それだけで十分です。その先の結果がどうであれ、きっとより良い未来に繋がっている、そう信じています。応援しています。